阿呆が真顔で語る
酔っぱらったとある二人の魔法使いの話。大変残念です。R18というか単なる下ネタ。
「はい、さて。こんばんはクラウス・ローレンツです」
「フロリアン・シュタイナーです」
「ということで今晩の議題は、シュタイナーさん」
「そうですねローレンツさん、ただいま夜中2時を回ったリビングですねぇにしてもすごい酒の空き瓶。二人で結構開けましたよ」
「ですねぇ。でもこれくらい飲まないとやってられない話題に突入しようとしているわけですからね、これから」
「ええ、そうですね。それでは行きましょう、今宵のお題は、せーの、どん!」
『恋人さんたちが意外に絶倫で私達は果たして満足していただいているのでしょうか』
だんっ、とジョッキがテーブルに置かれる。そこに注がれるのは黄金色の液体ではなく、それよりもっとアルコール濃度の高い赤い液体だ。うん、ジョッキでワインとか頭どうかしてる。
「まぁ頭どうかしてると言われても全く反論できない状況ですが。いやぁ、これ案外深刻な問題なんですよねぇローレンツさん」
「そうですねぇ、まず事の発端を誰に対してかわかりませんが説明しますと。」
『ぶっちゃけ私たちの恋人がめっちゃ絶倫』
「意外とね、二人とも細身なんだけど結構すごいんだよね」
「もう、何だろう、二つしか年違わないはずなのに若さの差ァ感じちゃいましたからね」
「つまり。ざっくり言うと、僕たちとフォル達、明らかに一晩のセックs―――げふん、えっちでイく回数に差があるんだよね、それに結構序盤で一度は僕ら意識なくしちゃうし」
「それな」
「それ」
「・・・」
「・・・・」
ごくごく、だぁん。とくとく、たん。
ごくごく。ごく。
『ぶっちゃけ何か申し訳ないッ!!!!』
「そう、申し訳ない!」
「まだ若いのに!満足させられてないのかなって!!!」
『思っちゃう!!』
「いやね、僕だって当然いろいろ試行錯誤してみてるよ、イかないように」
「自分で調節できるようにね、ええ、一人ではできるようになりましたよ一人では。でも。」
「・・・相手がいると途端にダメなんだよねェ・・・誰か別の人間で慣れさせてもらう、ってわけにもいかないし」
「体の不貞は避けたいところですからね」
「その通り。でも、何かこう、ダメなんだよね、触られると。結局頑張ろうとしてもすぐグダグダになっちゃう。というか我慢しててもそれ見抜かれちゃって」
「変に鋭いんですよねぇ、私の旦那様もそうですがどうやらそちらの旦那様もそうなようで。だったらもう、こちらが失神していても構わず続けてくれという話なんですが、これもダメ」
「なんだかんだ言って優しいんだもん、フォルも。意地悪してくるときもあるけど、もっとしてもいいのに、って言ってもぶっ壊れる前にはやめちゃうから」
「ヴィルさんはノーマルに優しくされると逆に不安になるくらいいつものあの調子のもっと楽しそうなドS全開な感じでベッドインしますが、やっぱり結局優しいので。私がトんじゃうと互い薬でも入ってない限りは割とやめちゃうことも多いんですよ」
『もう埒が明かない!!』
ジョッキを机に叩き付ける。ついでに瓶を逆さに振って、中身が空っぽなのを確認。どこからか新しい瓶を取り出し、スポンとコルクを抜き取る。つまみはナッツとカプレーゼ、それに生ハムだ。
「お、いいですねぇ。シャルドネ?」
「違う。たまにはリースリング100%のもいいでしょ」
「大分赤にも飽きてきましたし、冷えた・・・あ、甘口ですか」
「口の中渋くなってきちゃったから」
「スパークリングですか、となると栓取ってこないと」
「要らないでしょ、どうせ飲み切っちゃうよ」
「まぁ確かに」
いったん休憩だ。爽やかなぶどうの香りでのどを潤す。ちなみにアルコール度数、10%をジョッキで一気である。
「さて」
「さてさて」
「あ、カプレーゼ結構おいしくできてる」
「チーズプレイ・・・?」
「!!??」
「まぁいいや、流石にモッツァレラじゃ興奮できないしやり方も分からないし」
注ぐ。もう、開けたばかりのシャルドネが無くなりそうだ。
ゆらゆらと黄金色の液体を、ジョッキの中で揺らす。細かい泡が沸く。
「・・・単純なのはやっぱり、一服盛ることですよねぇ」
「精力剤じゃ物足りないから潔く覚醒剤とか」
「こらこらこらコンプラ発言はよしましょうねー、深夜とはいえどほら、読んでくださってるの若いお嬢さんなんですから」
「じゃあ何・・今の時代コーヒーとかチョコレートに媚薬効果なんて求めても仕方ないでしょ、仕事用のやつ使う訳にもいかないし・・並の薬だったら耐性訓練受けててもおかしくないじゃない、あの二人なら」
「・・・・さもありなん」
「でしょ?だったらもうやるしかないじゃない、一思いに」
「・・・・・」
ぽくぽくぽく。チーン。
「そうですね!やっぱり頼りますか白い粉!!あーでも離脱症状がやっかいですよねぇ、依存とか。あれ、耐えるしかないですから」
「そっか・・・それは確かに可哀そうだ。じゃあ何だ、もっと安全に理性飛ばしてもらうには・・」
二人、自分の手元を見る。酒の瓶の山。ふむ。
『これだ』
「酒。昔からこれだって言いますものね」
「乱交パーティーには付き物だ」
「上品さも勿体ぶりも全部全部投げ捨てて差し上げましょうよ」
「そーそー。あの二人、割とお酒入っても酒乱ご乱心状態にならないからさ、いつも。それを超えて、でも起たなくなるほどじゃなくらい飲ませて、こう・・・」
「それいい」
「最高」
「うぇーいw」
「うぇーいうぇーいww」
パァン、とハイタッチ。妙案が見事に浮かんだ。やはり、どの時代も人は酒だ。酒で酔い、酒で理性をなくす。そうすれば、遠慮も何もなくなるはずだ。
自分たちは残念ながら、女の子ではない。でも、いやだからこそ、中で出そうが多少乱暴にしようが大丈夫な訳だし、自分たちにもそれを受け入れる用意はあるし、なにより荒々しくされるのも嫌いじゃないのだ。むしろ結構好きなくらいで、そういうのだって。
我慢してほしくない。何回かに1回くらいは、思う存分してほしい。全部見せて、貴方の激情を。・・・でもそんなこと直接は、恥ずかしくて言えないから。
「さぁて、じゃあついでに酒の中にちらっと薬盛っちゃいましょうw」
「悪酔いさせないようにおいしいワイン用意しないとw」
「んふふふふ、アルコールと酒は同時服用厳禁ですからねぇwだからほんのちょっとだけ、私のとっておき、貴方にも分けてあげますよ、姫君」
「お前えげつないの持ってるからねw」
「無論解毒剤も用意してありますから問題はないですしw」
計画、上手くいくかなぁ。ワイン、どれにしよう。下着も新品を?だったら夜着も新品を。
そんなことを語りながら、二人の夜はどんどんと更けていく。やがて、朝日が鬱蒼と茂る森の向こうに顔を出したころ、大惨事のリビングの中、空の酒瓶を枕に、二人の寝顔はどこかうっすらと笑みを浮かべているのだった。