私にとって・2
続きます。
「はっ、ァんっ・・!」
語尾にハートマークでも付きそうなほど甘ったるい声が漏れた。後ろから突き上げられ、目も眩むほどの快楽が全身を痺れさせる。
「あっ、ア、う、つか、さ、ァ、」
ろくに力の入っていない手で必死にシーツを握りしめ、何とか過ぎた快感を流そうとするが、そうはいかない。やはり思いを見抜かれているのか、今度はぎりぎりまで引き抜かれて浅いところを何度も擦られる。
「はっあぁ、だめ、やめて、ぇ、こすれちゃ、やだぁっ・・・!」
「知ってる。もう中が擦れてるだけで気持ちいいんだよな、声で分かる」
良いところに当たってなくても、な、と角度を変えて擦り上げられ、その感覚と耳元で吹き込まれた司の低い声に、私はあっけなく精を吐いて陥落した。
「・・・っ、ふ、ぅ・・・」
腰を上げていられなくて、横向きに倒れ込む。結合部が抜けてしまい、声が跳ねる。思わず咳き込むと、その拍子に先ほど中に出されたものが出てきてしまったようで、もう頭の中はぐちゃぐちゃで、私はただ小さく喘いで体を震わすことしかできなかった。
「出ちゃったな」
背後、頭上から、恐らく笑ってるんだろうなという感じの声が聞こえてきた。どっちの事を言っているのかは分からないが、とりあえずもう力が入らなくて反論もできない。
今日はもう無理、とそれだけ言おうと思ったら、その前によいしょ、と上向きに体を返された。
「だから、も、無理だって・・・っ」
「んー、そうか?でもまだ3回目だろ」
「何、なんで」
別に何回達してようが関係ないじゃないか、と伝えたいのだが、有無を言わさず再び左足を持ち上げられ、また挿入される。
「ああっ、なんで・・ぇっ」
先ほどとは違う場所に、ぐぅっと擦られ、当たる。涙が。ひゅ、と喉が鳴る。また律動が始まり、徐々にリズミカルに濡れた音が響き始めた。私は制止を求める様に司の腕に縋りつく。
「嫌ッ、やめ、やだぁ!むり、も、・・・ッ」
「無理じゃないだろ、まだ平気だよ」
「平気、って、なに、ァ、も、」
まだって何、と腕に爪を立てるが、意に介さない様子で司はとんでもないことをさらっと説明してのけた。
「ん、体調が良い時のお前の限界は5回、それ以上はドライでいく前にトぶことが殆どだから、そこまではしねぇけど、3回目ならまだ平気だろ」
「はぁ・・・っ!?」
「何だ、足りないってか」
「ちがっ、や、じゃない、何でそんな、知ってんの!」
思い返してみれば確かにそうだが、というか私自身だってそんなこと一々把握してる訳じゃないのに。しかもそれで「お、締まった」とか言うんだから最低だ。もうやだ、こんなのあんまりだ。揺すられながら、近くのバスタオルを抱きしめて顔を埋めた。ひどい。とはいえやっぱりまたじわじわと快感が忍び寄ってきて、徐々に追い詰められていく私はもう唇を噛んで声を殺すことしかできなかった。
ダメ。こんな状況で気持ちよくなっちゃったら、負けだ。そう思うのに、止められない。窒息しちまうぞ、とタオルを外されそうになり拒むが、当たり前のように奪い取られてしまった。
目が合う。恥ずかしくて、ため息も涙も出放題だ。それなのに司はやはり容赦なく攻め立ててきて、これは彼も達しそうになっている動きだな、とそんなことばかりはよく分かった。観念した私は、司の首に腕を回して引き寄せ、中に頂戴、と囁く。彼が息を詰めた。
たまには、お前だって煽られれば良いんだ、と私は精一杯笑って見せる。悔しげに、そして思惑通り余裕なさげに小さく舌打ちをした司が最後に一番深いところまでこじ開けてきて、私は悲鳴を上げながら司の体液を受け入れたのだった。